日々是好日記

ミクロネシア連邦のポンペイでの暮らし

Beautiful

カマテップin Kittiに参加させてもらった。ヤムイモ収穫お祝いのカマテップ。前回は都合の関係で、13時頃までしか滞在出来なかったから、今回は長めにいれればと思い、気合いを入れて参加。

10時頃に始まると聞いていたので10時頃に到着すると、もう始まりそうなほど準備がされてた(予想外)!たくさんのヤム、サカウ、食べ物、飲み物、豚(10数匹)が、ぞくぞくと集まってくる。

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10時を過ぎた頃、素敵な讃美歌が始まり(ポンペイ語)、ナンマルキが裏口みたいなところから入場して着席(ナンマルキだけが通れる通路というのがある)。そしてサカウから始まり、サカウを作っている間にココナッツアイスとドーナツが配られ(前菜的な?)、サカウの一番搾りをナンマルキにささげ、音楽と共に様々な食べ物をナンマルキに奉納する儀式を進めていく。踊りながら、どんどんナンマルキの前に食事などを並べていくママたち。今回はちょっと一緒に踊ってみた。

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しばらくダンシングタイムを楽しんだ後に、参加者へのランチ分配。私たちもいただいた。

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これで1人前。これ、日本でオードブルとか頼む時の容器なんだよ。メニューは上から左回りに、空芯菜の炒め物(キムチ味)と牛肉の串、カニカマサラダ、フィッシュチリ、かき揚げ、鶏肉のココナッツファイン和え(これ激うま)、刺身、そして中心にはおにぎりととうもろこし。この直前にはアイスとドーナツを食べてる上での、この量の1人前。この習慣で帰国したら、日本のお弁当がきっと少なく感じるだろうな。

ランチを食べているころ、急に豚の叫び声が。そちらを向くと、豚が絞められているところだった。ここは、心臓を突く方法らしい。でも、大きな豚の心臓へは一回でなかなかヒット出来なくて、何回か突くことになったりするから聞こえる声らしい。この声を聞いてから、ご飯が食べられなくなった。そこから、ずっと儀式の様子を観察させてもらった。

豚を絞めたら、一度ナンマルキから見える位置まで豚を運び、綺麗に並べて示した後、もう一度下げて、毛を炙り捌いていく。そして内蔵をとると(内臓も取り分けておく)、石焼きの上に並べて一瞬燻し、それをナンマルキの目の前に運んで捧げて、細かく捌いていった。これらの豚に関することは、すべて男の人の作業。10歳くらいの男の子もいた。

恐い、汚い、気持ち悪い、そんな言葉が一切出ない時間だった。誰の指示もなく淡々と命の作業をすること、手で内臓を丁寧に掻き出すこと、とても重い豚を担ぐときに男性達から雄叫びのような声が出ること、運ぶときに豚の血が身体にしたたりおちる様子、それを見ているナンマルキ達、反対側では足元まで迫る血だまりの近くで踊っている女性たち、豚の匂いとサカウの香りと音楽のmixな空間。カオスなようで完璧なようで。

この一連の豚を捧げる儀式をみて、私はなんだか泣けてしまった。言葉にできないけど、ポンペイの人達の生き方や文化というのか命の燃やし方というのか、そのエネルギーみたいなものに泣けた。彼らをリスペクト、という言葉だけでは足りないような。目がふらついてないんだよね。生きてるんだな、と感じた。

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これまで、ポナペはアメリカナイズされていると思っていた。伝統的な食べ物もあまりないし、持ち物も食べ物も輸入のものばかりだなと。位置的にも、国際政治的に重要視されていることを上手く利用して、アメリカの元で成り立っているのかなと。でも、今回のカマテップに参加できて、そこに住んでいる人は目に見えるものの形を変えながらも大切にしている生き方があることを、ほんの少しだろうけど感じさせてもらえた。努力があってこそ、これまで続いてきている生き方なんだと思う。

今回のカマテップは15時頃に私たちは帰ることにした(まだまだ続いたらしい、1/2か2/3くらいのところだったとか)。帰り際に挨拶をさせてもらった前州知事に、この感動を何と伝えたらいいのか分からなかったけど、出てきた言葉がbeautifulだった。

心がたくさん動いて、なんだかドッと疲れたようなクタクタになった帰宅だった。ミクロネシア愛がまた一つ広がった経験。Kalahngan.